型コロナウイルスに感染し生還したイギリスのボリス・ジョンソン首相が、自己隔離中にビデオメッセージで「社会というものがまさに存在する(there really is such a thing as society)」と発言。
英紙「ガーディアン」(3月29日付)は、ジョンソン首相のメッセージを報じた中で「首相は、彼の保守派の先祖であるマーガレット・サッチャーによる1987年の純潔個人主義への支持―『社会なんてものは存在しない(there is no such thing as society)』という雑誌での発言を否定した」としました。
サッチャー元首相の言葉とは、「社会なんてものはない。あるのは個々の男たちと女たち、家族である」というもの。戦後イギリスの福祉国家体制を否定し、徹底した個人の「自己責任」を強調する新自由主義の「哲学」を表明したものでした。
新自由主義とは、「市場原理至上主義」ともいわれるように、すべてを市場の競争に任せ、資本=企業に対する規制は少ないほど良いという主張と政策です。
労働力の売買=雇用をめぐる規制緩和が重要な内容で、派遣労働をはじめとする非正規雇用の拡大や労働時間規制の緩和が進められてきました。巨大企業の税負担、社会保障負担の軽減と一体に社会保障そのものを削減し、個人や中小企業を守るための企業活動に対する規制も徹底的に緩和してきました。
「NHSを守れ」
ジョンソン首相は保守党党首で、「サッチャー哲学の継承者」「新自由主義の申し子」と目されてきた人。そのジョンソン首相が、「コロナウイルスは『社会というものがまさに存在する』ことを証明した」と発言し、「われわれのNHS(国民保健サービス)を守れ」と発信したことが、驚きをもって受け止められています。
英首相自身が新型コロナウイルスに感染し、一時は助からない可能性があるとまで言われていただけに、首相自身の中で何かが変わったのか、今後に注目です。
日本も変わるとき
コロナ危機がいま、世界中で新自由主義に変革を起こしている。
国は個人と社会を守るために、公衆衛生、医療、介護などの社会保障システムを守り、倒産、失業の危機から国民を救わなければならない。
日本の安倍首相と言えば、いつまでたっても休業補償には冷たく、自己責任とばかりの態度が続いています。
日本もいまこそ財界による政治の歪み、新自由主義的な考え一辺倒から変革が求められているのではないか。
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