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佐渡金山の世界遺産推薦について

日本政府は、戦時の朝鮮人強制労働の事実を認めるべきである


 世界文化遺産として推薦に値するものだとしても、同時に、日本が行った朝鮮人強制労働の事実(負の歴史)についても認め、「犠牲者を記憶にとどめる措置をとる」必要があると考えます。長崎の軍艦島のを含む世界遺産登録の際も、国際社会に約束したこうした実行を日本政府は怠っています。

 これでは、韓国を含む国際社会は納得しません。


 佐渡金山の世界遺産推薦について、日本共産党の志位和夫委員長は以下のように述べています。


 一、岸田文雄首相は28日、「佐渡島の金山」(佐渡金山)を世界文化遺産の候補として国連教育科学文化機関(ユネスコ)に推薦すると表明した。わが党は、佐渡金山は世界文化遺産として推薦に値するものだと考えるが、日本政府が、登録推薦を行うならば、戦時中の朝鮮人強制労働の歴史を認める必要がある。

 

 一、世界遺産とは「人類の知的・精神的連帯に寄与し、平和と人権を尊重する普遍的な精神をつくる」というユネスコの理念に基づくもので、登録推薦物について調査・勧告を行う国際記念物遺跡会議(ICOMOS)は「より広い社会的、文化的、歴史的、自然的な文脈と背景に関連させなければならない」(「文化遺産の解説及び展示に関するICOMOS憲章」)との原則を示している。

 

 佐渡金山についても、戦国時代末から江戸時代にかけてだけでなく、明治以降、戦時の朝鮮人強制労働などを含む歴史全体が示されることが必要である。戦時中の歴史を「時代が違う。まったく別物」とする政府・自民党の中にある主張は、世界遺産の趣旨に反する。ユネスコやICOMOSが掲げる原則をふまえるならば、世界文化遺産の登録推薦にあたっては、負の歴史を含めて、歴史全体が示されなければならない。


 一、アジア・太平洋戦争の末期に、佐渡金山で当時日本の植民地支配の下にあった朝鮮人の強制労働が行われたことは、否定することのできない歴史的事実である。新潟県が編さんした『新潟県史 通史編8 近代3』は「朝鮮人を強制的に連行した事実」を指摘し、佐渡の旧相川町が編さんした『相川の歴史 通史編 近・現代』は、金山での朝鮮人労働者らの状況を詳述したうえで、「佐渡鉱山の異常な朝鮮人連行は、戦時産金国策にはじまって、敗戦でようやく終るのである」と書いている。この歴史を否定することも、無視することも許されない。


 一、日本政府自身、長崎の端島(通称・軍艦島)を含む「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録(2015年)の際、戦時の朝鮮人強制労働を含む「犠牲者を記憶にとどめる措置をとる」と、ユネスコ世界遺産委員会で表明している。にもかかわらず、日本政府は今もその国際約束の実行を怠っており、昨年の世界遺産委員会では、日本に対し「強い遺憾の意」を示し、犠牲者を記憶する適切な措置などを重ねて求める決定が採択されている。


 日本政府は、佐渡金山の世界文化遺産への登録推薦をするならば、これまでの態度をあらため、戦時の朝鮮人強制労働の事実を認め、自らの国際約束を果たすべきである。



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