6月議会で、伊勢原市に加齢性難聴者への聞こえの支援と、補聴器購入費の助成制度の創設を求めました。
※そもそも加齢性難聴とは…
外から入ってきた音を脳に伝える電気信号に変える機能を担っている、内耳の蝸牛内にある有毛細胞がダメージを受けることが大きな原因となって起こります。
さらに、その先の神経線維も加齢とともに変性し、脳に届く情報量が減り、更に脳の音の処理能力も低下するため、言葉の聞き取りが悪くなる症状を呈します。
加齢性難聴は治す方法はなく、補聴器により聴力を補い、聴力を維持していくということが基本になります。
難聴になると、家庭の中でも社会的にも孤立しやすく、会話の機会が減り、ひきこもりになりがちになります。
また、厚労省のオレンジプランでも認知症の危険因子の一つとされています。
という、加齢性難聴の基本的な部分を抑えたうえで、以下、質問要望内容です。
早期からの補聴器使用が重要
現状では、両耳聴力が70デシベル以上の、重い難聴でなければ、障害認定による補聴器購入補助が受けられません。WHOは、聴力が中等度難聴の41デシベル以上の場合に早期の補聴器の使用を推奨しています。
補聴器の調整は必須
補聴器使用によって生活の質を改善するために重要なのは、その人に合わせて補聴器を調整することです。しかし、必要な調整が行われていない方が多いことも大きな課題です。
こうした調整を行う専門家が「認定補聴器技能者」です。補聴器を調整するフィッティングと、脳が補聴器の音に訓練され、音を聞き取れるようにするトレーニングを一体的に行うことで、本人の聞こえに合わせて聞き取れるようにしていきます。
補聴器普及には購入費助成が必要
補聴器の普及を進める上での一番の課題は、補聴器の金額が高いことです(片耳で3万から50万円程度)。「難聴だが、補聴器は高くて買えない」という声も多く、普及のためには何よりも経済的なサポートが必要であり、専門医も必要性を指摘しています。伊勢原市でも補聴器購入に対する補助が必要と考えます。
以上3点について市の見解を求めました。
伊勢原市の見解
市からは「加齢性難聴の早期の受診の重要性や、認知症予防にもつながる」などの答弁はありましたが、「健診メニューに入れる事は難しい」と答弁がありました。
補聴器の調整については「認定補聴器技能者が在籍する販売店等の情報提供を行っていく」と答弁がありました。
市長からは「早期の受診が必要。適正な医療機関への受診を推奨する。認知症や介護予防について普及啓発していきたい。早期に補聴器を使うことも重要である。」などと答弁がありました。
しかし、現状、「市として補聴器購入に係る独自の助成制度を実施する考えはなく、国や他自治体の動向を確認しながら対応する」などと消極的な答弁となりました。
川添議員のコメント
加齢性難聴については、現状、補聴器によることでしか、改善効果は得られません。
補聴器装着に対する、恥ずかしさのハードルもあると言われていますが、近年、様々なタイプの補聴器もあり、目立たないものもできています。
さらに、補聴器を付けたからと言って完了ではなく、必ずトレーニングが必要であること、これらを周知・理解をしていただくことも大変重要です。
難聴は高齢者の認知症のリスク因子のみならず、気づいて早期に対処するためのスクリーニングの必要性、日常生活機能や生活の質を改善させるという点でも、非常に重要で、補聴器の活用が推奨されています。
こうした効果は、高齢者のみならず、現役世代の親の介護負担の軽減や、国の財政を支えることにも資すると考えます。
伊勢原市でも積極的な周知・啓発、普及促進のための助成制度の創設を引き続き求めていきます。
以下は、質問時の動画です。
Comments