本日、総務常任委員会の陳情審査がありました。
内容は、陳情第2号女性差別撤廃条約選択議定書の批准を求める意見書の提出を求める陳情
についてです。
総務常任委員会では、賛成多数で採択すべきとされました。
賛成:川添、山田、小沼、大山、萩原
反対:岸
最終的な採択、不採択は最終日に決まります。
以下は、委員会での私の賛成意見です。
女性差別撤廃条約選択議定書は、締約国の個人又は集団が条約に定められた権利が侵害された場合、女性差別撤廃委員会に直接通報する権限を認め、国連が通報に基づく調査・審査を行い、当事者・政府に「意見」「勧告」を送付するとしており、女性差別解消に重要な役割を果たすものと言えます。
1999年に国連総会で採択されましたが、日本は20年以上「検討」したまま、批准していません。
日本政府は選択議定書の批准をしない理由として、他の人権救済条約と同様「司法権の独立を侵す可能性がある」という見解を示しています。しかし、選択議定書は国内的な救済措置が尽くされたことを前提として委員会に通報することとしており、「意見」「勧告」に法的拘束力はなく、司法権の独立が侵されるおそれはありません。このことは2003年国連女性差別撤廃委員会でも明確に指摘され、日本政府は選択議定書の早期批准を勧告されています。
2003年の条約委員会総括所見は、条約で定められた権利を侵害された個人が各条約機関に訴える個人通報制度(同議定書の手続きの一つ)について「司法の独立性を強化し、女性に対する差別への理解を深める」と評価しており、個人通報制度作業部会長のパトリシア・シュルツ氏は「人権保護における司法の基本的な役割は、国際的な審査を受け入れることによって強化される」と指摘しています。
これまでに都道府県レベルで意見書を可決したのは、可決順で高知、島根、宮城、徳島、富山、大阪、岩手、埼玉、三重、滋賀の10府県。宮城県は2度可決しました。政令指定都市は堺、千葉、北九州、さいたま、大阪、京都、札幌の7市で、北九州市は2度可決。大阪府は全自治体議会で可決しています。
昨年、2月に可決した兵庫県尼崎市議会の意見書は「日本のジェンダー平等へ向けた取組は進まず、女性の権利についての政策等が国際基準から立ち後れている」とし、「早急に選択議定書を批准し、日本の女性の権利を国際基準とする努力が求められています」と訴えています。
また、同年7月に全会一致で可決した三重県松阪市議会の意見書は、第5次男女共同参画基本計画が、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、配偶者等からの暴力や性暴力の増加・深刻化の懸念や女性の雇用、所得への影響等が顕在化したとの認識を示したとのべ「選択議定書の批准は、このような現状を変える重大な第一歩である」と強調しています。
世界各国の男女平等度を示す昨年の「ジェンダーギャップ指数」で、日本は146カ国中125位と過去最低になりました。政治分野では、女性議員の割合の低さ。経済分野では、男女の賃金格差や、企業での女性管理職の割合の低さなどが指摘されています。日本の社会のあらゆる場面で決定権を持つのは、ほとんど男性だということを、今や世界中が知っているという状況です。
選択的夫婦別姓制度の実現、痴漢犯罪をはじめ性暴力・性犯罪、DVをなくすための対策、トイレへの生理用品の配備、安全・安心な中絶薬や経口用ピルのアクセス改善など、女性であるが故の困難はまだまだ残されており、こうした状況をなくすことは当然のことです。
誰もが性別に関わりなく個人の尊厳を大切にされ、自分らしく生きられる、全ての人にとって希望に満ちた社会を実現するためにも、日本政府に対し、対策の遅れを真摯に受け止め、男女平等の実現と全ての人の人権が尊重される社会をつくるため、環境整備を進め、選択議定書を速やかに批准することはその大きな力になると考えます。
よって、本陳情は採択すべきと考えます。
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