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マイナ保険証の延期・撤回について

9月議会 一般質問の報告①



政府はこの間、相次ぐマイナンバーカードのトラブルや、不安が払拭されていない中、マイナ保険証の導入を進めようとしています。


2016年1月にマイナンバーカードの交付が開始され、2019年に健康保険法改定でオンライン資格確認とマイナ保険証の導入が実施されました。


しかし、2021年3月の運用開始時点で、トラブルが発生し、同年10月より本格運用が開始されました。しかし、この時点で、病院での体制もほとんど整っておらず、また、普及を促進するために2兆円ものマイナポイントのバラマキが行われました。


今年5月に入り、ご登録などのトラブルが相次いで発覚しています。新聞各紙の世論調査でも、現在の保険証廃止に反対、またはマイナンバー制度の拡大に不安が7割を超えています。更に、8月1日に共同通信が行ったアンケートでも、神奈川県内33市町村のうち、「延期するべきだ」と答えた首長は、回答した26市町の約4割を占めています。


こうした中、政府はマイナ保険証について、「医療機関の事務の負担軽減」「国民医療費の削減」「データに基づいた質の高い医療」「転職後もカードの交換が不要」など、しきりメリットを説明しています。


今回の質問はこの点について確認し、市民にとっても利便性や道理がないことを明らかにし、マイナ保険証は延期・撤回するべきと市長に求めました。


マイナ保険証導入で事務負担が増大



政府は、マイナ保険証を持っていない人に「資格確認証書」を交付するとしています。有効期限は「5年以内」、延長可能にする方針も出しています。


しかし、期限のない組合健保や「協会けんぽ」については、市も「定期的な更新事務が新たに生じるため、事務負担が増える」と答弁


さらに、国民健康保険や後期高齢者医療保険については、『(従来の健康保険証の代わりに)「資格確認書」の交付や更新を行うため、現在と同等の負担』であると答弁。そうであるなら、今まで通りの紙の保険証を残せばよいのではないでしょうか。


さらに、高齢者(施設入所者、独居など)、障がい者、訪問・在宅医療の場合、「資格確認書」の申請と管理ができないのではないかという問題があります。


市は「国が『保険者が必要と認めた者』は、更新時に本人の申請によらず資格確認書が交付できるとされてる」と答弁しました。しかし、「保険者が必要と認める者」の対象者の範囲や特定方法については、未だ示されておらず、混乱を招くことは必至です。


マイナ保険証を導入したために、医療費負担が増、国民皆保険制度を歪めることに


全国保険医団体連合会の調査では、マイナ保険証に対応していない医療機関、登録未完了で保険資格が確認できないなど、医療機関で5493件ものトラブルが発生し、いったん10割を徴収した例が1291件、診察を受けずに帰宅する事例も発生。


このまま保険証廃止を強行すればトラブルは108万件以上にもなるという推計も発表されています。


更に、2023年4月から、従来の保険証とマイナ保険証で診察した場合に、マイナ保険証を利用したほうが患者負担が安くなるという、マイナ保険証を推進するため、国民皆保険制度の根幹を揺るがすようなことまで実施されています(表2参照)。



 市からは


「本市では事例報告や市民の問い合わせもないため、同様の事例は発生していない」


「健康保険証の廃止に伴い、マイナ保険証の保有者が自身の被保険者資格等を簡易に把握できるよう、被保険者の氏名、保険者の情報及び負担割合等を記載した『資格情報のお知らせ』が交付でき、 国民健康保険も『資格情報のお知らせ』は、新規資格取得時や70歳以上の人で負担割合が変更となる人等に対して、交付することを想定している」


「マイナ保険証を持参しなかった場合に加算の点数が高くなる(患者負担が増える)」


などと答弁があり、トラブル発生は必至で、更に医療費も安くなっていないことが明らかになりました。


データに基づいた質の高い医療はできない


現在、電子カルテの普及率は、令和2020年時点で、一般病院は57.2%。400床以上の病院で91.2%、200~399床で74.8%、200床未満で48.8%。一般診療所では49.9%です。


規模が小さいほど普及率が低く、市民に身近な病院ほど進んでいない、対応できない状況が明らかとなりました。


更に診療データの反映も、早くて翌月、請求が遅れると2か月以降となるケースもあります。


また、マイナポータルで確認できるデータは過去3年分で、診察結果や検査結果は確認できません。


これでデータに基づいた質の高い医療ができるはずがありません。


現状の保険証でも不正利用はわずか


2017年~2022年までで、なりすましなど不正利用があったかについて、市は「報告は受けておらず、市民からの問い合わせもないため、本事例は発生していない」などと答弁がありました。


全国でもこの間で50件しか報告されていません。


あたかも、現状の保険証で不正利用が多くあるかのような政府の誇大広告はするべきではありません。


髙山市長もマイナ保険証の延期・撤回を求めるべき


髙山市長は、あくまでも、マイナンバーカードが行政の効率化や市民の利便性を高めるという立場で、「マイナ保険証にも様々なメリットがある」などと答弁がありました。


これだけ問題のあるマイナ保険証で、しかもG7でも共通番号などと医療情報を紐づけている国は日本以外ありません。それだけ個人情報の取り扱いについては慎重でなければいけないということです。

財界の儲けのために進められてきたマイナ保険証の延期・撤回、現状の健康保険証の存続を求めていきます。





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