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下水道使用料の値上げについて

2023年12月議会にて、2024年4月から下水道使用料の値上げが可決しました。

以下に、9月議会での私の一般質問について報告します。




下水道使用料の見直しについて

 下水道事業は「下水道の整備を行い、都市の健全な発達、公衆衛生の向上及び公共用水域の水質保全を図ることにあること」を目的とした事業です。

 

 企業の経済性の発揮は、この前提の上で最大限求められるものです。また、公共下水道事業は独立採算制とはいえ利潤を生み出す事業ではなく、採算の取りにくい、極めて公共性の高い事業でもあります。そのため、私たち日本共産党伊勢原市会議員団は、2018年に下水道事業が公営企業会計に移行する際、独立採算を強調し、使用料の更なる値上げが懸念されることから反対を表明しました。


 昨年から続く、物価高騰、電気料の値上げなどにより、当時の懸念が現実のものとなりかねない状況です。現在、下水道使用料の見直し等について、下水道運営審議会が実施されていますが、「収支均衡」や「独立採算制」など、企業経営についての議論はなされているものの、その前提となる、市民生活の状況など、ほとんど議論されていないことについても疑問を感じ、使用料値上げをしないよう求めるとともに、以下、質問をしました。


地方公営企業の本来の目的は公共の福祉増進

 地方公営企業の本来の目的について、市からは「地方公営企業は、常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営しなければならない」と答弁がありました。

 同時に、「一定の利益を確保し、経営基盤の強化や財政マネジメントの向上を図り、一企業として継続して安定した下水道サービスを提供できるよう努めることが必要」などと答弁もありました。


公共下水道事業の経営状況と課題について

 次に、公共下水道事業の経営課題について、市は「物価高騰や労務単価をはじめ、人件費の上昇が顕著で、短期的にも中長期的にも支出全体が底上げされることが見込まれ、どう対応していくかが大きな経営課題」「 公共下水道事業は、上水道、電気及びガスなどと同様、生活インフラとしての性質を有し、地方公営企業の本来の目的から考えても、継続して安定したサービスを提供することが最大の目的」「適切にサービスを提供することが出来なくなる恐れがある場合、つまり一企業として経営上の収支均衡が図れない恐れが生じた場合、経費削減策や増収施策を検討し、短期的だけでなく中長期的に収支均衡を図ることが出来る計画を策定し、下水道経営を行うことが求められる」などと答弁がありました。


収支均衡を強調する使用料見直しの考え方では値上げが前提に

 市は「ウクライナ危機を発端とした電気料高騰、物価高、人件費上昇による支出の増加に伴い、短期的にも中長期的にも収支均衡を図ることが困難。経営戦略の見直しが必要となり、令和5年4月に下水道使用料の改正も含めた増収施策や経費削減策の検討を審議会において審議している。下水道使用料の見直しにあたっては、これまでの経費削減策を継続して実施するほか、新たな経費削減策や増収施策を盛り込むことで、下水道使用者への負担に関しても配慮を行うことが必要」などと答弁がありました。


市民のくらしに大きく関わる決定が多数決で良いのか

 市は使用料改定の前提となる、電気料・物価・人件費の3項目の上昇率について、3つの推計(標準、支出小、支出大)を出しました。これは、今後の使用料を改定した場合の市民への影響、さらに経営上も重大な決定となるはずです。それを、審議会にて、多数決で決めて良いのか。本来、市民にとって何が最も望ましいのかを議論すべきではなかったのか、疑問が残ります。


増収施策や経費削減、未普及対策、その他の経営努力をやり切った上での議論を

 増収施策や経費削減策については、ポンプ場及び処理場維持管理費については約20年間の経費削減の積み上げにより、年間約6,000万円の経費削減効果。また、下水道の未普及対策は、県内でも伊勢原市は相対的に遅れており、仮に他市と同じように対策が一服していた場合、増収効果は、現在の使用料水準でおおむね6千万円程度あることがわかりました。

 また、その他の経営努力として、「さらなる不明水対策の実施や再生可能エネルギーの検討を行っている」などと答弁がありました。


一般会計からの繰り入れで下水道の使用料引き上げ抑制を

 川添議員からは、市長に対し「現在、物価上昇に賃金が追い付いておらず、暮らしは非常に厳しい中、使用料の引き上げを行うのではなく、一般会計からの繰り入れで、対応を図るべきではないか」と求めました。

 しかし、市長からは「独立採算の観点や一般会計の財政状況から、継続して繰入金を増額することは困難で、繰入金の増額は一時的とすべき」などと答弁がありました。


 下水道審議会で検討されている内容は、「独立採算」「収支均衡」を前提とした議論です。そもそもの下水道事業の特性や、何よりも、市民生活の厳しさについては、議論がなされていません。川添議員は、こうした観点に立ち、一般会計からの繰入を継続し、市民負担を抑えることを引き続き求めていきます。








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