「新型コロナウイルス感染症による子どもたちの学び、心身ケア、安全を保障することについて」質問した内容を記載します。
今回の伊勢原市議会6月定例会、川添やすひろの一般質問の中継動画はこちら!
この間の、長期の休校による子どもの学習の遅れと格差の拡大、不安とストレスは大変深刻です。新型コロナ感染から子どもと教職員の健康と命をいかにして守っていくかは、重要な課題です。
何より長期に授業がなかったことは、子どもの学習に相当の遅れと格差をもたらしました。学校は課題プリントの配布などで家庭学習を促すなど、さまざまな努力を行っていましたが、家庭だけでの学習では無理があり、保護者からも「とても教えられない」との声も聞いています。ネット教材に取り組んだ子どももいれば、勉強が手につかなかった子どももいます。長期の休校は、学力の格差を広げた点でも深刻です。
子どもたちは、かつてないような不安やストレスをためこんでいます。
国立成育医療研究センターの「コロナ×こどもアンケート」では、76%の子どもが「困りごと」として「お友だちに会えない」ことをあげ、「学校に行けない」(64%)、「外で遊べない」(51%)、「勉強が心配」(50%)と続いています。各種のアンケート調査には「イライラする」「夜眠れなくなった」「何もやる気がしない」「死にたい」などの子どもの痛切な声も記されています。
かつてない学習の遅れと格差に対しては、子ども一人ひとりに丁寧に教えることが欠かせません。学習が遅れた子どもへの個別の手だても必要です。
子どもの本音を受け止め、かかえた不安やストレスに共感しながら、心身のケアをすすめていくには、手間と時間が必要です。休校の中で特別な困難をかかえた子どもには、より立ち入った心理的、あるいは福祉的な面も含めた支援も求められます。
同時に、子どもたちをゆったり受けとめながら、学びとともに、人間関係の形成、遊びや休息をバランスよく保障する、柔軟な教育が必要です。そうした柔軟な教育は、子どもを直接知っている学校現場の創意工夫を保障してこそ、実施することができます。
国や県のガイドライン等の中に「学習内容の精選」ということが述べられています。これは重要な提案です。「学習内容の精選」とは、その学年での核となる学習事項を見定めて深く教え、それ以外は教科横断で学んだり、次年度以降に効率的に学ぶようにする方法です。そうしてこそ子どもに力がつき、逆に教科書全てを駆け足で消化するやり方では子どもは伸びないと多くの教員も指摘しているところです。
いま、子どものいのちと健康を守ることが求められていると同時に、子どもの豊かな成長・発達と学ぶ権利をどう保障するのかが問われています。
憲法と子どもの権利条約にもとづき、「子どもの最善の利益」(子どもの権利条約第3条)を保障する立場から、新型コロナウイルス感染症拡大から、子どもたちと教育を守るために、一緒に子どもを守る取り組みを進めることが必要です。こうした立場から質問を行いました。
上記図の出典は、国立成育医療研究センターの「コロナ×こどもアンケート」中間報告
(1)子どもたちの学びの保障について
川添議員
「例年通りの授業の実施ではなく、子どもの実態に応じた柔軟な教育のために、学習指導要領の弾力化することについて求める。」
教育担当部長
「学校における教育活動は、限られた授業時数の中でも学習指導要領に定める内容を効果的に指導するため、例えば時間割編成の工夫を行うなど、様々な工夫を行いつつ、学校における指導を充実させることが重要です。」
「また一方で、児童生徒同士の関わり合い等を通じて行われる協同的な学びや学校行事等も含めた学校教育ならではの学びも大事にしながら活動を進めていくことも大切であると認識しております。」
「先の議員にもお答えしたように、現在、夏休みを短縮するなどして一定の学習時間を確保しつつ、各学校では児童生徒にとってより豊かな学びの保障を目指し、学習内容や学校行事等の精選または見直し、実施のための工夫について検討を進めているところです。 」
「今後も感染症対策に十分配慮し、学校や家庭、地域、教育委員会等で連携を深め、様々な工夫を凝らしながら、児童生徒にとって充実した教育活動を実現できるよう努めてまいります。」
川添議員
「学習指導要領の弾力化や柔軟な教育という点で、教育委員会として、学習指導要領にとらわれず、保護者に対しても、年間の方針や情報提供をしっかり行っていただきたい。例えば、『小学校・中学校におけるこれからの学習等に関するお知らせ』が保護者にも配布されていますが、基本的な考え方が記され、休みが短縮すること、行事等も変更する可能性があるということはわかります。しかし、学習内容の何がどう変わるのかが全く分からない。特に新入生の保護者は通常の年度の流れもわからないので、何がどう変更になっているのかもわかりません。これでは保護者も協力のしようがない。こういう時期だからこそ、学校、保護者、地域の皆さんと一緒に子どもたちと教育を守る取り組みが必要になっています。具体的に何をどこまでやるのか、やらないものは何か、次年度に移行するもの、今年度、各学年で習得させる内容等、具体的な中身を示してほしいと思いますし、意見を聞く場も設けることも必要と考えます。これは、教職員、保護者、児童・生徒に対する負担軽減、安心して学校生活が送れるようにするためにもこうした具体の見通しを示して欲しいと考えますが、見解を伺う。」
学校教育担当部長
「新型コロナウイルス感染症に対応した市内小中学校及び教育委員会における取組や方針等については、各校からのメール配信やホームページ、市のホームページやくらし安心メール等で、保護者や市民に向けて情報発信、情報提供を行ってまいりました。これから学校からも取り組みについて適宜案内する予定です。」
「今後も児童生徒や保護者への適切な情報発信、情報提供に努めてまいります。」
川添議員
「不安とストレスに対する手厚い対応について。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの体制についは、昨日、他議員への回答もありましたので、学習の遅れに対する個別の手立て、24時間子供SOSダイヤルやSNS相談窓口の周知等について伺う。」
学校教育担当部長
「学習の遅れ等に対する個別の手当については、これまでも実施してきた教員OBや学生ボランティア等の支援に加え、今後、国の人的支援のメニューも可能な限り活用してまいりたいと考えております。」
「相談窓口については、何かあれば学 相談窓口については、何かあれば学校に相談が可能であることを呼びかける一方、24時間子供SOSダイヤル等、児童・生徒や保護者が電話やSNS等で相談きる窓口を一覧にして配付するとともに、「伊勢原こども学び広場」のサイトにも掲載いたしました。」
川添議員
「児童生徒の休業中の状況の聞き取りやアンケート調査について、生活困難な家庭やDV・虐待などの恐れがある家庭を含め、基本は全ての子どもたちの状況を把握することが必要。聞き取りや交流する場をつくるなど、現場任せではなく、教育委員会として取り組みが必要ではないかと考えますが見解を伺う。」
学校教育担当部長
「各校では、臨時休業中に課題確認日として登校日を設定たり家庭訪問や 電話連絡等を通して、児童生徒の状況等の確認を行いました。」
「6月1日から学校を再開しましたが、長期の臨時休業や新型コロナウイルス感染症の流行により不安な気持ちを感じている児童生徒もことが考えられることから、日々の児童生徒の状況を的確に把握し、担任及び養護教諭、スクールカウンセラー等による面接の実施や関係機関と連携等、適切に取り組んでいきます。」
「また、教育委員会におきましては、児童生徒の心の状態と学校再開時の対応について、子どもへのアンケートのサンプルや参考となるような情報等を教職員に提供しております。
「例えば、児童生徒への指導用として日本赤十字社『新型コロナウイルスの3つの顔を知ろう!』というサイトを紹介し、指導スライドのデータを全小中学校へ配布しました。」
「また、担任が個別に子どもと話す際の項目や、子どものストレスサインの例をまとめたものを教職員グループウエアのお知らせに掲示しました。」
「さらに、家庭での子どもへの声かけや接し方等、保護者用として、『セーブ・ ザ・チルドレンジャパ』や『国立成育医療研究センター』のサイトを紹介しました。」
川添議員
「保護者や現場の意見集約の機会や窓口について、今回、コロナ禍の中で、長期休暇や行事等の判断について、議論の中身が見えない。いつどこで判断されたのか、そうした情報提供も踏まえ、保護者からも声を聞く機会や窓口を改めて設ける必要があると考えるが見解を伺う。(電話やメールだけでは一部の声しか聴けない)」
学校教育担当部長
「今回の学校臨時休業に際し、各校には保護者等からの相談に応じる窓口を設置しております。」
「また、臨時休業期間においても校長会と連絡を密にし、連携を図りながら様々な対応や取組を行っており、現場の先生や保護者の意見等についても校長等を通じて確認をしています。さらに、教育委員会へも地域や保護者の方から電話やメール等で直接御意見や御相談をいただいている。」
川添議員
「就学援助の認定と周知について、家庭によっては本当に急激にひっ迫している家庭もあります。県の教育委員会の学校再開にあたってのガイドラインにも記載がある通り、前年ではなく申請時の収入状況により判断し、繰り返し、改めて周知するべきと考えますが見解を伺う。」
学校教育担当部長
「就学援助は、経済的な理由によって就学困難と認められる学齢児童又は学齢生徒の保護者に対し、 就必要な援助を行うもので、就学援助の認定は毎年度行い、申請は各学校を通じて行います。」
「就学援助制度の案内は全世帯に行っておりますが、前年の認定申請書を配布し、申請を促しております。」
「就学援助は、原則、前年の所得を認定基準としておりますが、学校長などが、その経済状況を把握し、教育委員会と協議の上、認定することも可能です。」
「これまでも学校は、教材費や給食等の徴収状況を把握する中で、支払いができない又は遅れがちな世帯がある場合は、教員が保護者に事情を聞き、必要があれば就学援助の申請を勧めております。」
「学校再開後、これまで教材費や給食費の支払いが滞っていなかった家庭に支払いの遅延等があるような場合は、新型コロナウイルス感染症の影響により保護者の収入が大幅に減少したことも考えられるため、学校が積極的保護者に声かけをして、対象となる場合は就学援助の申請を勧めるように学校に案内してまいります。」
川添議員
「今コロナ禍で緊急を要する家庭もあります。8月の支給まで期間もあるため、再度、周知を求める。」
学校教育担当部長
「学校の方からも適宜声をかけていく。今後の状況見て検討していく 。」
(2)学校等の新型コロナウイルス感染症対策について
川添議員
「消毒、清掃、健康チェックについて、学校でどのように行うのか。」
学校教育担当部長
「小中学校における新型コロナウイルス感染症対策は、基本的には、文部科学省発出の「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」に則り感染症対策を実施しております。」
「具体的には、子どもには、登校前の検温実施、健康観察カードの記入提出をさせております。」
「学校内では、こまめな手洗い、マスク着用、教室の換気、ソーシャルディスタンス保持の励行などの感染症対策を行っております。」
「さらに、学校での教育活動の再開に際して、各学級では新型コロナウイルス感染症予防の授業も実施しております。」
「教員は、これらの取組を教育活動の中で指導徹底するとともに、子どもの健康観察を行い、体調不良者の早期発見に努め、また、共用の手すりやドアノブ、蛇口などの消毒作業を行い、感染症の防止に努めております。」
「児童生徒の清掃活動においても、当面、掃き掃除にとどめるなどの配慮をしております。
また、保護者に対しては、これら学校での取組内容や家庭でも協力実施して欲しいことなどを、必要に応じてプリント等でお知らせして家庭との連携を図っております。」
川添議員
「トイレや主要な場所への手指消毒の設置や、トイレ掃除など教職員の負担軽減のために当面掃除の委託化を導入することについて伺う(各家庭や子ども同士でも意識に差があることへの懸念もある)。」
学校教育担当部長
「手指消毒の設置については、各学校では、日頃から手洗いを励行し、児童生徒の衛生管理に努めていることから、児童生徒の手指消毒用のアルコール消毒液等の設置を義務づけておりませんが、学校の判断で配置しているところもありますので、引き続き同様の対応をいたします。」
「掃除の委託は、外部の人間の出入りが多くなることや費用面から、導入は考えておりません。」
川添議員
「費用等の具体的な検討はされたのか。」
学校教育担当部長
「現状では特段行っていません。」
川添議員
「あまりにも現場の実態を無視している。平時でも大変な負担が伴っている中、コロナ禍でさらに業務が増えている。教育長!教職員の負担軽減のためにもせめて検討するべきではないか。」
教育長
「川添議員からお話がありました、現場の教職員の大変な日々過ごしている。今でも多忙な中、更に過重になるようなことは避けたいと思いますので、ご質問の趣旨も踏まえて検討をしたいと思います。」
川添議員
「感染リスクが高くなることが想定される養護教諭の感染防止対策をふくめた保健室等での詳細な対応マニュアルの作成や、感染が疑われる児童・生徒を待機隔離する場所の確保について伺う。」
学校教育担当部長
「学校再開に当たり、国や県の衛生管理マニュアルやガイドラインに沿った内容で、学校活動のケースごとの対応方針や対応方法について、教職員が適切な判断や子どもへの指導ができるよう、各学校で定めております。」
「各学校では、保健室に特化した詳細なマニュアルは策定しておりませんが、感染症対策については、3密を防止するため、保健室のレイアウトを変更したり、児童生徒に一人対応するごとにうがい、手洗い又はアルコール消毒を行い、また、ゴミは密閉し袋を二重にして捨てるなどの配慮をしております。」
「また、具合の悪い児童生徒がいた場合は、健康観察カードの確認、検温などを行い、発熱等の風邪症状などを確認した場合は、保護者等と相談の上、安全に帰宅させます。」
「さらに、保護者の迎えが必要な場合は、他の児童生徒との接触を避けるため、別室で待機させるなどの配慮を行うこととしております。」
川添議員
「妊娠中の教職員や基礎疾患を持っている教職員への体制について伺う。」
学校教育担当部長
「県教育委員会の指針に基づき、妊娠中の女性職員が保健指導又は健康診査を受けた結果、業務等における新型コロナウイルス感染症に感染するおそれに関する心理的なストレスが母体又は胎児の健康保持に影響があるとして、医師等から指導を受け、職員が『母性健康管理指導事項連絡カード』を添えて学校長に申し出た場合には、学校長は医師等の指導に基づき、作業の制限、在宅勤務又は休業等の措置を講じることとしております。」
「また、基礎疾患を持っている職員についても、学校再開後も引き続き必要に応じて在宅勤務の実施、風邪症状が見られる場合の特別休暇の取得等、適切な措置を講じるようにしております。」
川添議員
「身体的距離の確保のためにも、少人数学級を推進することについて、子どもの集う学校で万全の感染症対策を行う重要性は言うまでもありません。その学校で、感染防止のための基本として①身体的距離の確保②マスクの着用③手洗いなどがある。その一つである「身体的距離の確保」ができないという重大な問題があります。一般社会での対応を学校だけは例外で、できないでは説明がつきません。また、知り合いの教職員の方から、分散登校時に必然的に少人数学級となったわけですが、あれぐらいの人数が、先生たちも目が行き届いてよかったという声も聞いています。こうした点からも少人数学級を早期に推進していく考えについて伺う。」
学校教育担当部長
「議員が言われるように、少人数学級を推進することは、教室における身体的距離の確保にもつながりますし、学びの保障という観点からも有効な手立てであると認識しています。
去る6月12日に国会で成立した、令和2年度第2次補正予算に計上されている「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた学校教育活動等の実施における『学びの保障』のための人的・物的体制整備」の中には、特に小学校6年生及び中学校3年生を少人数学級にするために必要な加配教員3100名を配置するための経費が盛り込まれております。」
「大いに期待したいところですが、現在、神奈川県内はもちろんですが、多くの自治体で教員の確保に苦慮しており、本市においても、この制度を活用して少人数での指導を行うことは難しい状況です。」
「少人数学級の推進は、一朝一夕には難しい状況ですが、そのほかの学校支援スタッフの確保や物的体制整備など国の支援メニューも活用しながら、子どもたちが安心して学べる環境づくりに努めてまいりたいと存じます。」
以上の質疑応答の後、参考となる取り組みとして富山市の取り組みを紹介。
富山市では、子どもの日常を取り戻そうと、医師会、保健所、小中学校の校長会、園長会、教育委員会とが検討会を開き、感染リスクを減らしながら授業や給食、行事をどう進めていくかを最新の医学的データを基に話し合いがもたれています。感染の危険度合いを見極めながら過剰な対策は止めていく決断が必要ですが、感染症の専門家でない教職員にそれを求めるのは酷です。学校では音楽や部活や給食など本来の目的に合致した、あるべき教育を保障するということと、教職員の負担を減らすという点でも以上に参考にあるため、是非検討していただきたい。
最後に…
①学校を子どもたちにとって安心できる場にすること。
②子どもたちにとって今回の長期休校が「我慢を強いられた嫌な時間だった」と終わら
せないようにすること。
③これからも様々な局面で判断を求められるかと思いますが、最新の医学的知見に基づ
きながらも、子どもたちにとってそれが「最善の利益」といえるのか。を徹底的に考
えること。
以上の3点を強調し、これらを実行していくことで、ポストコロナ社会では、より良い教育環境を子どもたちに整備できるのではないかと述べ、学校・先生・保護者・地域と一緒に子どもたちを守り、教育を守る取り組みを進めていただくよう求めて質問を終わりました。
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